スマホアプリを使用するアナログゲームとして話題になったアルケミストの待望(?)の拡張が Spiele'16 で登場しました。しかし、そもそものアルケミストが難解のせいか、はたまた飽きられたのか、新作のわりには日本ではあまり話題になっていません。今回はその拡張「王のゴーレム」の紹介をしたいと思います。

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タイトル アルケミスト:王のゴーレム (Alchemists: The King's Golem)
デザイナー Matúš Kotry
メーカー Czech Games Edition (2016)
プレイ人数 2〜4人
プレイ時間 〜120分
対象年齢 14歳〜

拡張の内容

今回の拡張は、1つの新たな情報源 "ブックトークン" 、さらに4つの追加モジュールで構成されています。

  1. Book Token(ブックトークン)
    新たな情報源として使用され、材料が陰/陽のどちらのクラスの成分なのか知ることができます。
  2. BusyDay(多忙な1日)
    手番順スペースに新たなペナルティやボーナスが提供されます。
  3. Startup Fundury(初期投資)
    初期の所持リソースが基本ゲームのようにコインと材料という固定ではなく、プレイヤー各々で変わります。
  4. RoyalEncycropedia(王立百科辞典)
    新たな学説発表の場が提供されます。通常の学説発表とは趣が違います。
  5. GolemProject(ゴーレムプロジェクト)
    王の命令により、ゴーレムの起動に向けての実験を行い、そして起動を試みます。起動が出来れば勝利点が得られます。

拡張は任意の組み合わせで遊ぶことができますが、ゴーレムプロジェクトをプレイする場合のみ王立百科事典は必ずセットで適応しなければなりません。

各々、ちょっと細かく見ていきます。

Book Token(ブックトークン)

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ブックトークンの話をする前に1つ前提をお話する必要があります。今回の拡張から新たに、各材料に錬金術クラス(陰/陽)という情報が追加されました。全部で8種ある成分に対してクラス分けされ、結果的に各材料は必ず陰か陽のどちらかのクラスに分類されます。

各々の拡張でブックトークンが得られる機会があり、得られたならば即時で使用する必要があり、使用するとアプリ内の「VisitLibrary」により情報が得られます。

得られる情報は、特定の成分(材料)は陰/陽のどちらのクラスなのかが分かり、候補を大幅に削ることが可能です。

Busy Day(多忙な1日)

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"多忙な1日"は、新たな手番順スペースボードを適当な方法で6枚選び山札にし、毎ラウンド1枚のボードが手番順スペースに登場します。

基本ゲームではボーナスとして材料カードと助力カードが得られましたが、この拡張では勝利点やトークンなどの別のボーナスが得られる可能性があります。また、ボーナスだけでなくペナルティもコインに留まらず、別のものを要求される場合もあります。

この拡張だけでもゲームの展開が大きく変わってきます。

Startup Funding(初期投資)

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"初期投資"は、各プレイヤーがコインと材料カード、助力カードでゲームを開始していた基本ゲームとは異なり、各々が初期の所持リソースを選択してゲームを開始できるような変化を加えることができます。

ゲーム開始時、各プレイヤーにスタートアップカードという新しいカードを4枚配り、その中から任意の2枚を選び、その2枚に記されたリソースでゲームを始めることが出来ます。

基本ゲームのようなコインや材料、助力カードももちろん含まれていますが、他にアーティファクトや名声点の得失点などもあります。

The Royal Encyclopedia(王立百科辞典)

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"王立百科事典"は、基本ゲームの学説の発表とは別の論文の発表ができる新たな場が提供され、学説の出版アクションにより選択して発表することができます。

王位百科事典に発表を行う際のコストに関して、通常の学説の出版のコインと異なり、承認トークンという拡張で新たに追加されたトークンを支払う必要があります。

発表について

通常の学説では、1つの材料に対してどんな成分なのか?ということを発表していましたが、王立百科事典では特定の色の成分に対して、どの材料と材料にその色の要素が生まれるのかというアプローチで発表する必要があります。

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例えば、緑の要素に対して発表する場合「カラスの羽と花では緑+」「ヒキガエルとシダは緑−」というような発表を行います。

細かい制約として、発表する際は必ず異なる4つの材料を組み合わせた内容で一度に発表する必要があります。また、各材料トークンが2個ずつしかないので、既に使われてしまってトークンの在庫がない場合は使用できません。

暴露について

もちろん、王立百科事典に対しても暴露を行うことができます。通常の学説では「1つの材料に対してどの色の要素の符号が間違っているか」という指摘でしたが、王立百科事典では「特定の要素に対して、どの材料が発表されている符号を含んでいないか」というアプローチになります。アプリでの判定はどちらも同じ手順で、特定の材料を選んで符号が間違っている要素を選択します。

学説の出版に対して暴露を行うことで、王立百科事典の内容と矛盾する場合もあり、その際は連鎖的に暴露することも可能です。

リスク回避について

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リスク回避ももちろん出来ます。発表している材料の隣に色付きのリボンがあり、その色の「?封印トークン」を使うことで、特定の材料に対して言葉を濁す事ができます。材料トークンが置かれるスペースが4箇所あることにより、今回の拡張から「白?の封印トークン」が追加されました。

The Golem Project(ゴーレムプロジェクト)

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今回の拡張のメインモジュールです。王の命令により、ゴーレムを起動させる為の実験を行います。実験の進捗状況や、ゴーレムの起動状況により、新たに勝利点を得ることができます。

このモジュールで追加された新たなアクション「Reserch Golem」によって、ゴーレムを起動させる為の限られた材料2種の組み合わせを推理/解明をしていきます。ゴーレムプロジェクトで追加される拡張ボードは、各プレイヤーのゴーレムの実験の進捗を示すものです。

進捗の報告

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通常のゲームと同様に3ラウンドの終わりと5ラウンドの終わりに会議があり、その際にゴーレムプロジェクトの進捗に関する判定が追加されました。2回目の会議に関しては、通常の会議タイルも新しいもの(より厳しいもの)に差し変わります。

実験の進捗に関しては毎ラウンドの終わりに各自がフリーアクションで行うことができ、進捗状況により得失点します。

ゴーレムによる実験

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ゴーレムを起動させる材料を見つける為、ゴーレムに任意の材料を与えて反応を確認することで答えに近づいていきます。ゴーレムの実験を行うことで、まずゴーレムはどの要素(色)の大きさに反応するのかというのを導き出す必要があります。

ゴーレムの材料を与えて得られるヒントとして、2種類のゴーレムの反応があります。1つは耳から蒸気が出るか否か、もう1つは胸が光るか否かです。

ゴーレムの反応は、特定の要素の特定の大きさに反応します。耳と胸、それぞれ異なる要素に反応します。この時、符号は関係ないということに注意が必要です。あくまで要素(色)と大きさの組み合わせです。

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例えば右の写真の時では、耳は緑大に反応し、胸は赤小に反応します。マンドレイクの根(右から3列目)の場合、どちらの要素も含まれているのでテストを行うと、耳と胸の両方の反応を得ることができます。カラスの羽(一番右の列)の場合、緑大は含まれていないので耳は反応せず、赤小は含まれているので胸が反応します。

これらは、各材料の成分がまだ確定していない中、ゴーレムの実験を行って反応を確認する為、特定するのは難易度が非常に高いです。

ゴーレムの起動

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反応する要素と大きさが特定できたら、それぞれの答えにリンクした要素に変換します。これは既に推論グリッドにプリントされているので、ゴーレムが反応する要素が分かっていればすぐに変換できます。変換した先の要素の大きさは関係なく、その要素が2つとも含まれている成分をもつ材料が8種のうち必ず2種あり、それらがゴーレムを起動させる唯一の組み合わせになります。

起動に成功すると、2回目の会議(ラウンド5の終わり)とゲーム終了時に得点をもたらします。起動に失敗すると、失点します。

感想

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率直な感想ですが、非常に内容が複雑な為、よほどのアルケミスト好きでなければオススメできません。基本のアルケミストでさえ「まずは錬金術とは…」という説明から始まりインストに1時間弱かかるシロモノです。その拡張ともなると、さらに複雑化されたルールのインストに+1時間かかり、もはやオススメできるプレイヤーは皆無です。アルケミスト好きで基本ゲームに慣れたプレイヤーならば挑戦してみる価値はあるかな?くらいです。

通常の学説に加えて、王立百科事典やゴーレムプロジェクトなどの得点を伸ばす要素がある一方、そちらにもアクションキューブを配分しなければならない為、基本ゲーム以上に効率よく情報をかき集める必要があります。得点を稼ぐ為にハッタリ出版&自ら暴露とかしてる暇がありませんw

難易度は非常に高いですが、そんな中でもうまくゴーレムの起動まで漕ぎつけられると、謎解きをクリアした時のような達成感があり、テンションが上がります。

個人的にはもっと遊びたいですが、これに付き合ってくれるメンバーを探すのに苦労しそうです。

プレイログ

2016.12.20
おば:61, S:57, T:51